2017-08-28

KDD2017感想 Tutorial Day: Asking the Right Business Questions?

データマイニングの国際会議であるKDDに参加してきました。まずは1日目のチュートリアルの感想です。

From Theory to Data Product: Applying Data Science Methods to Effect Business Change. 

http://www.t4g.com/kdd2017/

ビジネス現場におけるデータ分析プロジェクトをいかに回すかといったテーマ。T4Gというカナダのコンサルティング企業が実際に使っているフレームワークに沿った内容で、次の3部構成。
  1. プロジェクトの初動に何をすべきか。業界とトップダウン or ボトムアップで何が変わるかのケーススタディ
  2. 具体的なアクション導き出すための「Right Question」
  3. アジャイルプロセスを応用した意思決定
講義に加えてそれぞれの課題が渡されてグループディスカッションを行なった。どちらかといえば、現場リーダー向けの話。

参加者は20名程度で他のチュートリアルと比較すると少なかったが、内容に対する反応からほとんどは実務者である事が見てとれた *1。そして常日頃から「実装に集中したいから、腕の良いプロジェクトマネージャーが降ってこないかな」と思っている自分にとっては得るところが大きかった。特にプロジェクトの具体的なアクションを決める際の「Right Questionの導出」のくだりが印象的だった。そこからActionableで実行すると計測可能な結果が得られる物とせよ、という話に続く。

プロジェクトで具体的に何をするか(作るか)を決めるのは難しい。所謂データ分析チームで仕事をはじめて2年経つが、半年以上かけて開発に取り組んだ予測器が実は不要だったケース、課題解決のアプローチを間違えたまま進めて成果に繋がらなかったケースを見てきた。
例えば「事業の粗利率が低い」みたいな課題があったとして、タスクをKaggleの出題レベルの粒度まで分解して落とし込むには課題解決のための道筋と具体的なアクションを決める必要がある。しかしこの能力はKaggleのランキングの様に可視化されない物であるし、能力のある人間の採用も難しい気がする。そもそも職場でコンサルっぽい職種の採用をしていないので、迷いなくコードを書くためには自分ができるようになる必要があるなと思った。

参考: T4G: Are You Asking the Right Business Questions?

A/B Testing at Scale

http://exp-platform.com/2017abtestingtutorial/

午後はMicrosoftのプロダクト改善にまつわるA/Bテストの話。月に1,000個のA/Bテストを回せるシステムがどうなっているかというと、いろいろ凄かった。
実験対象のユーザー群の抽出がシステム化されており、過去のデータを使ってA/Aテストをして即座に実験が開始できるようになっていたり。ユーザーを保護するために結果の悪い実験のアラート通知と自動停止。相互作用のある実験を同時に流すとテストにならないため、実験同士の相互作用を検出したり。
システムの話だけでなく、プロダクト改善のためには何を指標として計測すべきかという根本の話もあって良かった。

本会議のセッションでも統計的検定やp値ハック、因果推論とからめた施策の効果測定ネタがあったので、データマイニング界隈でホットなトピックの一つなのだと感じた。

2日目の感想、AdKDDのまとめに続きます。

----
*1: グループ課題の問題文の1行ごとに「Flequently……」と呟く人がいて面白かった

このエントリーをはてなブックマークに追加