2016-10-17

Spotify社のエンジニア評価制度

Spotifyが日本に上陸しましたね。現在はアプリをインストールしてもすぐにサービスが利用できない様子、その隙に彼等の技術職評価制度についてのブログエントリを読みます。
ブログエントリは3部作になっており、技術職のキャリアパスフレームワークを作ったモチベーションに始まり、そこから得た物まで纏まっています。

印象に残った箇所

  • キャリアパスフレームワークをいつ作るか
    • 会社の初期の頃にはキャリアパスフレームワークは不要である。しかし8年間、Spotifyは昇格・昇給の正式な手続きが存在しなかった。
    • 昇格にはラインマネージャかプロダクトオーナーになるのが必要だと社員は考える様になってしまった。Spotifyにおいては、それは職種変更同然で開発者としての成長では無い。
    • 2014年の春に "career ladder" の開発に着手した。
  • 目標
    • Spotifyの文化に適合しており、社員の多様性、さまざまな経験度・ロールに適用可能なフレームワークを作る事。
  • 5つの特質
    • 個人の成功よりもチームの成功
    • 継続的な個人/チームの成長
    • 説明責任を持つ事
    • 仕事のビジネスインパクトを考える事
    • 各人がそれぞれの分野で熟練する事
  • 4つのステップとレベル定義
    • Individual
      • 新規要員。どのように生産的であり貢献できるかわかっている。
    • Squad / Chapter (チーム)
      • チームメンバとして貢献できており、一緒に働くメンバーの力になっている。
    • Tribe / Guild (より大きな組織)
      • 所属するチームを越えて活躍できる人。もしくはある技術に造詣が深い・困難な問題を解決するスキルがある・部署を越えた問題を解決に導ける。
    • Technology / Company (組織の最高レベル)
      • 会社全体に貢献できるレベル。組織を越えた活動に十分な時間を費やす事を期待される。
  • 各ステップに期待する行動
    • たくさん (気になる人は原文を参照してみてください)
  • ステップの昇格手順
    • squad/chapterへの昇格は、ピア(入社時に割り当てられるサポート担当?)のフィードバックに基づいて決定される。
    • tribe/guildへの昇格は、tribeレベルのリーダーで相談した後、関係するtribe leadの承認が必要。
    • technology/companyへの昇格は、technicalレベルのリーダーで相談した後、CTOの承認が必要。
    • 昇格には責任範囲の拡大が共なう。
    • 実績よりも振舞いを重視する。これはイノベーションを推奨するためであり、失敗は起る物とする。
  • 給与
    • 同地域・同業界の給与をベンチマークとしている。しかし厳密に合わせているわけでは無く、推奨レベル。
    • ステップと給与の関係は未完成。
  • 肩書(役職?)
    • ステップと肩書は連動しない。

感想

序盤の「The road is more important than the destination」という節にあるのですが、自社のキャリアパス制度を作ろうとしている時に、他社のやり方をそのまま使いたくなるかもしれないが、それはお勧めしない。なぜなら企業文化はそれぞれユニークであるから。とあり、楽はできないんだなと。彼らは評価制度を作るのに有志によるワーキンググループを作ったが、企業文化によってはここから別のルートになる所もあるだろう。
社員の成長をサポートする、つまりどの様に成長して欲しいかを定義するのは企業文化と照しあわせる作業であり、そのプロセス自体も企業文化に即していなければならない。

ステップ(レベル)と役職が連動していないのは、給料を上げるにはマネージャーにするしかない、という残念な状況を生み出さないので理にかなっている。(しかしそんな残念な会社もたまにあると聞く)

Companyステップに期待する事の一つが
Gives talks at industry events, and/or publishes research papers, and/or publishes company white-papers and/or may be a Spotify representative in industry groups or committees.
つまりこういった記事をブログで公開する事、彼ら自身が利用しているソフトウェアをGithubで公開したり研究成果を論文にするのも要求事項として明記されているんですね。素晴しい。

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